CATEGORY黄金澤/橘屋(宮城県/川敬商店)
新酒鑑評会金賞常連の蔵
明治35年(1902年)、初代・川名 敬治氏が旧南郷町(現美里町)に自作田を得て醸造業を始めました。創業時の屋号は、生業の金物店と同じ「橘屋」。
銘柄は「金時」でしたが、涌谷藩主伊達家の御用商人として金物屋を営んでいた川名家の創業の地が、奈良の大仏の鍍金用に金を献上したことで有名な遠田郡涌谷町にある黄金山神社に近い沢のそばだったことにちなみ、「黄金澤」に改名されました。
「黄金澤」とともに、平成9年(1997年)から造りを始めた「橘屋」の2銘柄を醸しています。「黄金澤大吟醸」は、平成16年から令和元年まで「全国新酒鑑評会金賞」を16年連続で受賞。「黄金」に縁の深い、縁起のいい蔵元です。
硬軟の水を使い分け、ベストな発酵を目指す
酒造りの特徴は「生酛系山廃仕込み」。酒母の仕込みに必要な乳酸を、自然に湧く乳酸菌によって生じさせる伝統的な手法です。一般的な速醸の酒母より時間はかかりますが、健康な酵母が育ち、醪はゆっくり力強く発酵します。こうしてできあがるお酒は「味に広がりと深みがある。いやみがないから、燗上がりする(=燗をつけて味が引き出される)酒になります」と社長の川名氏は言います。
ベストな発酵のために、酒母の仕込みに鹿島台の井戸水(硬水)、もろみの仕込みには自社の水(軟水)と、水を使い分けて使用。
2012年より、愛娘の由倫さんが蔵に入り、父の指導を受けながら本格的に酒造りに携わるようになりました。女性杜氏らしい瑞々しい感性と、受け継がれた手仕事の技を活かし、丁寧に醸しています。